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     広島高裁岡山支部平成28年(ネ)第56号所有権移転登記手続請求控訴事件

     (全部勝訴)

 

     平成28年11月17日判決言渡・同日原本領収 裁判所書記官

     平成28年(ネ)第56号 所有権移転登記手続請求控訴事件(原審・岡山地方   

     裁判所津山支部平成26年(ワ)第92号)

     口頭弁論終結の日 平成28年9月8日

                 判        決

        岡山県津山市小田中223番地の2

           控         訴        人      広  島  建  設  株  式  会  社 

           同代表者代表取締役  大   木   昭   二      

           同訴訟代理人弁護士  吉   村   清   人

                        岡山県津山市××××××××

           被     控     訴    人  ×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  × 

           同代表者代表取締役  ×   ×   x   × 

           同訴訟代理人弁護士  黒   田       彬

                 主        文

        1 本件控訴を棄却する。

        2 控訴人の当審における追加請求を棄却する。

        3 当審における訴訟費用は,全て控訴人の負担とする。

                 事  実  及  び  理  由

     第1 控訴人の求めた裁判

      1 原判決を取り消す。

      2⑴ 主位的請求

      被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地 

     」という。)について,真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続

     をせよ。

      ⑵ 予備的請求(その1)

      被控訴人は,控訴人に対し,本件土地について,平成2年4月13日時効取得

     を原因とする所有権移転登記手続をせよ。

      ⑶ 予備的請求(その2)

      被控訴人は,控訴人に対し,本件土地について,平成11年6月21日時効取

     得を原因とする所有権移転登記手続をせよ(控訴人は,当審において,上記⑴の

     請求の予備的請求として,同日時効取得を原因とする所有権移転登記請求を追加

     した。)

     第2 事案の概要(特段の断りのない限り,略語は原判決による。)

      1 本件は,被控訴人が控訴人との間で平成2年3月15日に締結した売買契

     約(本件売買契約2)により所有権移転登記手続を経由した本件土地について,

     控訴人が,主位的に,被控訴人は本件売買契約2の代金を全額支払っていない 

     から,控訴人は本件売買契約2における所有権留保特約(本件所有権移転条項)  

     により本件土地の所有権をなお有すると主張して,被控訴人に対し,同所有権に

     基づき,真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めるととも

     に,予備的に,控訴人は,同年4月13日から10年間,本件土地の所有権者と

     して本件土地を善意かつ無過失で占有した旨を主張して,同日時効取得を原因と

     する所有権移転登記手続を求めた事案である。

      原審が,控訴人は同年10月末日に本件売買契約2の残代金の請求権を放棄し

     たから,本件土地の所有権は被控訴人に移転したとして,控訴人の上記主位的請

     求を棄却するとともに,控訴人による本件土地の占有は所有の意思に基づくもの

     ではないとして,控訴人の予備的請求も棄却したところ,控訴人がこれを不服と

     して本件控訴をした。そして,控訴人は,当審において,上記主位的請求の予備

     的請求として,控訴人が平成11年6月21日に本件土地の所有権者であること

     を前提とする看板を本件土地に設置し,所有の意思があることを表示したことを

     理由とする,同日時効取得を原因とする所有権移転登記手続請求を追加した。

      2 前提事実,本件の争点及びこれについての当時者の主張は,下記のとおり  

     原判決を訂正し,当審で追加した予備的請求(上記1の2⑶)についての当事者

     の主張を摘示するほかは,原判決(「事実及び理由」)中の「第2事案の概要」 

     の1ないし3(原判決2頁5行目から同6頁12行目)及び原判決別紙物件目録(

     同14頁)各記載のとおりであるから,これを引用する。

      ⑴ 原判決の訂正

      ア 原判決2頁20行目の「本件土地」を「平成2年3月13日付で分筆され

     るまでの間は222番4土地の一部(北東側)であった本件土地(甲6,乙30

     )」と改め,同頁22行末尾に次ぎのとおり加える。  

      「222番2土地は,本件土地の北東側に隣接する土地であり,その上には,

     後記のとおり,Aが所有する建物があった(甲8,乙2,43)。」

      イ 原判決2頁25・26行目の「22番4」を「222番4」と改める。

      ウ 原判決3頁26行目の「広島建設(株)」を「広島建設(株) 所有者管理」

       と,同4頁1行目の「甲1」を「甲1,3」とそれぞれ改める。

      エ 原判決5頁1行目から同頁5行目までを次のとおり改める。

      「イ 本件売買契約2に本件所有権移転条項が定められていることは控訴人が

     主張するとおりであるが,本件所有権移転条項は定型文言を利用して定められて

     いるにすぎない上,本件売買契約2においては,特約条項として,売買代金(手付

     金×××××円を除く。)×××××××円のうち×××××××円が支払われた段階で,

     売主である控訴人が本件土地及び222番2土地を引き渡す旨等が定められてい

     る。売主が,所有権を移転していないにもかかわらず所有権移転登記に応じると 

     は考え難いから,本件所有権移転条項は上記特約と整合的に理解されるべきであ

     り,上記×××××××円の支払があるまでは本件土地及び222番2土地の所有権

     が控訴人に留保される趣旨と解すべきである。そして,被控訴人は,平成2年4

     月9日に×××××円を支払い,同月10日に,前所有者であるBから被控訴人に 

     対し直接所有権移転登記がされているから,控訴人と被控訴人は,同月9日,本

     件所有権移転条項にかかわらず,上記支払をもって本件土地の所有権を被控訴人

     に移転する旨の合意をし,これに基づき,同月10日の上記所有権移転登記手続

     がされたというべきである。」

                 ⑵ 当審における追加請求についての当事者の主張

      ア 控訴人の主張

      仮に,控訴人の本件土地についての占有が他主占有であったとしても,控訴人

     は,平成11年6月21日頃,本件土地上に「広島建設(株) 所有者管理」,

     「第三者の立入をかたく禁止する」との看板を立てたことにより,控訴人は被控

     訴人に対し所有の意思を表示したから,控訴人告の占有は,民法185条により,

     自主占有に転換した。

      そして,控訴人は,平成28年6月27日に被控訴人に送信された控訴理由書 

     において,上記取得時効を援用する旨の意思表示をしたから,これによって本件

     土地の所有権を取得した。

      イ 被控訴人の主張

      争う。控訴人が平成11年6月21日頃に上記の行動に出たのは,本件土地の

     所有権が被控訴人に移転していることを前提に,本件売買契約2の代金の一部が

     未払であるとの主張をし,その担保として占有したもので,留置権を行使するも

     のにすぎない。したがって,客観的,外形的に見て,控訴人に所有の意思がある

     ということはできないから,その占有が自主占有に転換することはない。

     第3 当裁判所の判断

      1 当裁判所は,⑴控訴人は,本件所有権移転条項にかかわらず,被控訴人か

     ら本件売買契約2の代金の一部として×××××円の支払を受けた平成2年4月9 

     日に,控訴人との間で,本件土地の所有権を被控訴人に移転する旨を合意し,こ

     れにより控訴人は本件土地の所有権を喪失したから,控訴人の主位的請求は理由 

     がない,⑵上記所有権移転後の控訴人の占有は,外形的,客観的にみて,所有の

     意思に基づくものではないから,控訴人の同月13日時効取得を理由とする予備 

     的請求は理由がなく,また,控訴人が本件土地に看板を設置したことをもって民

     法185条所定の所有の意思を表示したものということもできないから,平成1

     年6月21日時効取得を理由とする当審における追加請求も理由がない旨判断す   

     る。その理由は,次のとおりである。

      2 認定事実

      下記のとおり訂正するほかは,原判決「事実及び理由中」の「第3 当裁判所

     の判断」の1(原判決6頁14行目から同9頁24行目まで)記載のとおりであ

     るから,これを引用する。

      ⑴ 原判決7頁13行目の「定められている」の次に,「。本件売買契約書は,       

     社団法人岡山県宅地建物取引業協会制定の定型書式を用いて作成されたものであ

     り,本件所有権移転条項のほか下記⑶ア(イ)の条項は,不動文字で定型書式として

     印刷されているが,同(ウ)の特約条項は,別紙で作成されて,上記定型書式に添付

     されているものである。」を加える。

                  ⑵ 原判決8頁17行目から同頁21行目までを次のとおり改める。 

      「イ Bから控訴人に対しては,本件売買契約1により,本件土地を含む22

     2番4土地やこれに隣接する222番2土地が売却されることとなったが,これ   

     らの売買契約を原因とするBから控訴人に対する所有権移転登記は経由されず,

     以下のとおり,控訴人に対する被控訴人の売買代金全額の支払を待つことなく,

     その支払額に応じ,Bから控訴人に対する直接の所有権移転登記がなされた。

       すなわち,本件土地は,被控訴人から控訴人に対しまず手附金として×××× 

     ×円が支払われた(前記前提事実⑵キ(ア)後である平成2年3月31日に,22 

     2番4土地から分筆され,その後,被控訴人から控訴人に××××××円が支払われ 

     (同(イ)),控訴人からBに本件土地の残金として×××××円が支払われた(

     前記⑵ウ)後である同年4月10日に,Bから控訴人に対し,直接,同月9日売

     買を原因とする所有権移転登記が経由された(甲6)。

       また,222番2土地も,被控訴人から控訴人に同月13日に合計×××××

     ××円が支払われ,控訴人からBに同日に×××××××円が支払われ(前記⑵エ), 

     被控訴人から控訴人に同月16日に合計×××××××円が支払われた(前記前提事

     実⑵キ(エ))段階で,同日,Bから被控訴人に対し,直接,同月13日付売買

     を原因とする所有権移転登記手続がされた(乙3)。

       なお,222番2土地については,同日,抵当権者を兵庫抵当証券株式会社

     とする抵当権設定登記が経由された後,同月18日,根抵当権者を控訴人代表者,

     極度額を×××××××円とする根抵当権設定登記が経由されたが,この根抵当権

     は,被控訴人の控訴人に対する合計×××××円の支払(前記前提事実⑵キ(オ),

     (カ))がされたことに伴い,同年6月25日に,極度額を×××××円に減額す

     る旨の登記がなされ,更にその後被控訴人が控訴人に対し,同年7月に合計××

     ×××円を,同年10月11日に×××××円をそれぞれ支払った(同(キ)ない

     し(ケ))ことに伴い,当該時点においてはなお売買代金全額の支払がされてい

     ない状況であったにもかかわらず,同日付で,同日解除を原因とする抹消登記が 

     経由された(乙3)。」

      ⑶ 原判決9頁24行目末尾に改行の上,次のとおり加える。

      「オ 控訴人は,平成2年当時や控訴人が看板を立てた平成11年当時はもと

     より,上記仮処分がされた平成26年に至るまでの間,被控訴人に対し,本件売

     買契約2の残代金が存在すると主張したり,これを理由として,本件土地につい

     なされた被控訴人に対する所有権移転登記の抹消等を求めたりしたことはなかっ

     た(弁論の全趣旨)。」

      3 争点1(主位的請求ー所有権移転の有無)について

      ⑴ 前記前提事実及び認定事実によれば,控訴人が被控訴人との間で締結した

     本件売買契約2は,代金額を×××××××円(手附金×××××円を含む。)と定め

     るとともに,その対象物件である222番2土地及び本件土地(ただし,222

     番4土地から分筆される前のもの)の所有権移転時期について,売買代金全額の

     授受が完了しない限り,売主である控訴人から買主である被控訴人に対し移転し

     ない旨を定めている(本件所有権移転条項)。そして,被控訴人が控訴人に支払っ

     た代金が,その金額のみを見るならば,上記金額に達していないことは前記前提事

     実のとおりである。

      ⑵ しかしながら,上記認定事実によれば,本件売買契約2においては,定型

     書式に当初から印刷された本件所有権移転事項とは別に,別紙による特約条項が

     添付されており,同特約条項には,上記売買代金には222番2土地を占有して

     いたAにかかる建物を含む一切の立退料が含まれることを前提として,被控訴人

     が,上記売買代金から手附金の額を控除した×××××××円のうち×××××××円

     を支払ったときは,控訴人が,222番2土地のほか,222番4土地から分筆

     した本件土地を引き渡すとともに,被控訴人に対する所有権移転登記手続をする

     旨の定めや,残余の×××××××円についても,Aの立退きに応じた支払時期や,

     売主である控訴人の当該代金請求権を保全するため,買主である被控訴人が控訴

     人を抵当権者とする抵当権を設定する旨が定められている。

      売買契約において,所有権の移転時期を代金完済時とする条項を定める趣旨は,

     売主の代金請求権を保全することにあると解され,このことは,目的物の引渡時

     期の定めや所有権移転登記の時期についても同様に理解することができるもので

     ある。これを前提として,本件所有権移転条項と上記特約条項との関係を見ると,

     本件所有権移転条項が特に条件等が付されていない一般条項であるのに対し,特約 

     条項は,本件売買契約2が,その趣旨に沿う履行が完了するまでの間に,土地の

     分筆や第三者所有の地上建物等の立退き等が必要とされることから,その特質に

     合わせて,売主のなすべき土地の分筆,所有権移転登記,占有者の立退きといっ

     た行為を,代金の一部の支払といわば引換えとすることで,本件売買契約2を段

     階的に実現することを企図したものと認めることができ,本件所有権移転条項よ

     りも,上記特約条項に,本件売買契約2の特約としての重点があったと解される

     のである。

      このことは,控訴人としては,Bに対する本件売買契約1の代金支払の原資を

     早期に調達することができ,同人に対して,222番4土地の分筆や,対象土地

     の所有権移転登記手続に協力させること,被控訴人としては,対象土地の所有権

     移転登記を経由した後も,代金の一部の支払を留保することで,控訴人に対して

     Aの立退きを進めさせることができることなどの点で,合理性を有するものと評

     価することができることによっても,また,本件売買契約2の締結後の売主であ

     る控訴人の行動,すなわち,平成2年4月9日に×××××円が支払われたことに

     対応して,本件土地の分筆登記をしたこと(前記前提事実),同月16日までに

     手附金以外に合計×××××××円を超える金額(×××××××円)が支払われたこ

     とに対応して,222番2土地の所有権移転登記手続をしたこと(前記前提事実,

     前記1⑶イ),これに続いて,222番2土地に,債権者を控訴人代表者とし,

     極度額を×××××××円とする根抵当権設定登記をし,被控訴人からの代金の支払

     に応じて極度額を減額し,残代金を残しながら抹消登記をするに至ったこと(前

     記1⑶イ)などの各行動が,いずれも上記特約に従ってなされた(部分的には,

     これを前倒しにしてなされた)と認められることによっても,それぞれ裏付けら

     れているというべきである。

      以上のとおり,本件所有権移転条項及び上記特約条項を通じて見ると,本件売

     買契約2における特約の趣旨は,手附金×××××円を除いた×××××××円が支払

     われるまでの間は,控訴人に対象土地の所有権を留保することにあったと解され,

     その字義通り,本件売買契約2の代金全額が支払われない限り,控訴人から被控

     訴人に対し対象土地の所有権が移転しない趣旨であったとは解し難い。

      ⑶ 確かに,本件土地に関しては,平成2年4月10日付で,同月9日売買を

     原因として,Bから控訴人に対する所有権移転登記が経由されており,これは,

     上記特約条項には必ずしも沿わないものである。

      しかしながら,以上に認定説示した本件売買契約2に関する諸事情からすると,

     控訴人,被控訴人及びBの三者間では,被控訴人から控訴人を通じてBにそ相当

     額が支払われたことにより,Bが,222番4土地から本件土地を分筆する手続

     をすること,及び被控訴人に対して所有権移転登記手続をすることに応じ,これ

     によって,三者間の新たな合意により,上記特約条項の定める×××××××円の支

     払を待つことなく,いわば前倒しとして本件土地のみが所有権移転を被控訴人に

     移転させることとし,その旨の所有権移転登記が経由されたと認めることが,最

     も当事者の合理的意思に沿うものということができ,その事実を十分に推認する

     ことができる。

      ⑷ 以上によれば,前記第2の3⑴(控訴人の主張)イの抗弁事実が認められ,

     これによって,控訴人は,本件土地の所有権を喪失したというべきであるから,

     控訴人の主位的請求は理由がない。

      4 争点2について

      原判決「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3(原判決10頁2

     3行目から同11頁12行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。

      5 争点3について

      前記2,3で認定説示したとおり,本件土地の所有権は,本件所有権移転条項

     にかかわらず,控訴人と被控訴人との合意に基づき,平成2年4月9日に被控訴

     人に移転したから,これによって,控訴人は本件土地に対する従前の権原を喪失

     し,所有の意思のない権原による占有者に転じたというべきである。のみならず,

     上記認定の経緯からすると,控訴人は,同日以降は,自らの占有が本件土地の所

     有権に基づくものではないことを十分に認識していたというべきであり,加えて

     前記認定のとおり,本件土地についての平成3年度以降の固定資産税及び都市計

     画税は被控訴人が納付してきたこと,控訴人が本件土地の賃貸人としてCから賃

     料を受け取ってきたことを客観的に裏付けるに足る証拠がないこと,控訴人は,

     本件土地の登記名義が被控訴人にあることを十分認識しながら,被控訴人が平成

     26年に本件土地につての仮処分を申し立てるまでの間,その抹消等を何ら求め

     ることがなかったこと等を総合すると,控訴人に,外形的,客観的にみて,所有

     権である被控訴人の所有権を排斥して占有する意思があったとは認められないか

     ら,控訴人の本件土地についての上記占有は所有の意思を欠くと認められる。

      したがって,同月13日を占有開始時期とする控訴人の取得時効の主張を採用

     することができず,控訴人の予備的請求(前記の1の2⑵)は,その余について

     認定,判断するまでもなく,理由がない。

      6 控訴人の当審における拡張請求について

      控訴人が本件土地について平成11年6月21日頃に自らが所有権者であるか

     のような看板を立てたことは,前記認定事実のとおりである。もっとも,前記5

     で認定,判断したとおり,控訴人は,平成2年4月9日以降は,自らが本件土地

     の所有権者でないことを十分場認識していた上,その後の控訴人の行動等に照ら

     しても,控訴人の本件土地の占有が所有の意思に裏付けられたものではないこと   

     は前記認定説示のとおりであるから,これらの事情等を踏まえると,控訴人が上

     記看板を立てた行為が,外観的,客観的にみて,控訴人に所有権者である被控訴

     人の所有権を排斥して占有する意思があることを表示したものと認めることはで

     きない。

      したがって,控訴人が上記看板を立てた行為が,民法185条所定の所有の意

     思があることの表示に当たるとは認められないから,同日を占有開始時期とする

     控訴人の取得時効の主張を採用することができず,控訴人が当審で追加した予備

     的請求(前記第1の2⑶)は,その余について認定,判断するまでもなく,理由

     がない。

     第4 結論

      以上によれば,控訴人の請求はいずれも棄却した原判決は相当であり,控訴人

     が当審で追加した請求は理由がない。

      よって,本件控訴を棄却し,控訴人の当審における追加請求を棄却することと 

     して,主文のとおり判決する。

        広島高等裁判所岡山支部第2部

 

 

          裁判長裁判官   松   本   清   隆

 

 

             裁判官   新   藤   壮 一 郎

 

             

             裁判官   永   野   公   規